3軸プレス加工法と呼んでいますが、高強度ステンレス鋼の上下、左右、斜めからの三つのプレス加工を1工程で行うことができるものです。携帯電話はどんどん薄く、軽くなっています。その結果、落としても壊れないように、液晶画面を固定するバックパネルなどの機構部品に、ピアノ線よりも硬いステンレスを採用するようになってきています。しかし、硬いステンレスを複雑な形状に、精密に加工することは大変に難しく、この加工技術を保有しているところは少ないとみています。
我々は、これまで培ってきた金型技術を活用して、特殊な精密金型を開発し、この複雑・精密な加工を可能としました。工程を大幅に短縮した3次元加工ですので、コスト面でも有利です。この分野で、我々は約10%の世界シェアを持っているとみています。プレス加工事業の約半分をこの携帯電話用の小型精密機能部品で占めています。
今の3軸プレス加工法は、我々が理想としているものの30〜40%しか到達していませんので、さらに改良を加えていきます。経済産業省中小企業庁の戦略的基盤技術高度化支援事業の対象にしていただき、より複雑な形状の部品を高精度に加工できる特殊なプレス機、加工用ソフトウエア、精密金型を産業技術センター、大学の先生方などのご協力をいただいて開発に取り組んでいます。これまでダイカストで作っていた複雑な部品をプレス加工でできるようにし、生産コストも10分の1程度にすることを目標にしています。完成しますと、携帯電話部品以外の様々な分野で利用できるものと期待しています。