もともと伸管業者、伸銅業者は埼玉県の朝霞地区に多く集まっていました。それぞれ二十数社ありましたが、今日では、朝霞地区の伸銅業者はほぼゼロ、伸管業者は3分の1に減ってしまいました。これは、後継者に恵まれなかったり、時代に即応したことをやってこなかったりしたためと考えています。伸管業者は材料を買ってきて、安い加工賃で加工していたため、付加価値が低かった。人と同じことをやっていたら絶対に発展しないと思い、本業の金属加工に加え、思い切って表面処理の特許を買い、この分野に出ました。化学分野は、畑違いですから同業者はどこも手がけない。さらに、機械加工にも進出するなど、他社のやらない分野に先行投資をしてきました。
また、どう付加価値を高めるのかを考え、例えばパイプを作ってもキログラムで売るのではなく1本単位で売る、削っていたものを削らないで作りコストを安くする、丸管だけでなく異型合金パイプや異型棒などの引き抜きのものを手がけるなどの努力を続けてきました。製造設備も社内で試行錯誤しながら、当社にしかない設備を作ってきました。何とか付加価値を高めようと
知恵を絞れば新しい考えが出ます。そういう努力が10年間がかりで段々軌道に乗ってきました。今、ミクロン台の製品精度を出すことができます。こうなるともう同業他社に負けることはありません。本格的に当社が伸びるのはこれからと考えています。
中国に工場進出の話がありますが、当面、進出は考えていません。それよりも国内でしっかりと世界で勝てるものを作っていきたい。安いものも自動化していけば決して中国に負けない。精度が違い、品質が違い、しかも量産ができたら中国に行かなくてもいいと思っています。