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  新連載・エクセレントカンパニー
  成長注目企業の社長に聞く
大塚精工(株)大塚 博 氏
会社プロフィール
企業名
大塚精工株式会社
資本金
1,000万円
従業員
95人
設立年
昭和57年 6月
事業内容
磁気ヘッド製造用治工具・精密部品加工、セラミックス精密加工、各種自動機・金型製作
WEBサイト
活力ある21世紀の担い手はエクセレントカンパニー  意欲ある戦略的な経営者に登場して頂いた
技術と感性でナノテク産業を切り拓く
中小企業庁が選定された「元気なモノづくり企業300社」に選ばれましたが、ご感想をお聞かせください
画像 事前にお話がなく、突然、300社に選んでいただいたと聞いて驚いています。画像当社の持つ高精度な加工技術を評価していただいたものと思っています。大変に光栄なことです。当社のような中小企業は、これまで大手企業の陰に隠れた縁の下の力持ち的な存在でしたが、ようやく日が差してきた感じがします。

インタビューの様子(概要)を動画でご覧いただけます
  ↓それぞれのサムネイル画像をクリックすると動画(asxファイル)が再生されます
インタビュー前半
インタビュー前半
(約9.6MB)
インタビュー後半
インタビュー後半
(約11.3MB)
主力の磁気ヘッド製造用治具に参入するきっかけは
 1982年6月に、プラスチック金型の会社を辞めて独立しました。近くの金型メーカーからIC関係の金型パーツの仕事をもらう約束だったのですが、いざ独立すると半導体不況で仕事がなくなり、他社からの仕事を細々とやっていました。どうしようかと迷っていたときに、磁気抵抗(MR)ヘッドの製造用工治工具ある商社から磁気ヘッド製造用の治具を作らないかという話があり、挑戦しました。 6個作り納めたところ、大手電機メーカーから高い評価をいただいたのが、磁気ヘッド用治具を始めたきっかけです。発注先からは寸法誤差2ミクロンのものが欲しいが難しいからと、図面上の寸法誤差は5ミクロンでした。ですが、要求に応えて2ミクロンの精度の治具を努力して作ったことが評価されて、その後の事業拡大につながりました。
沿革

 大塚精工の創業は1982年、九州がシリコンアイランドと呼ばれ始めたころです。当時、磁気ヘッド製作用治工具の試作をしないかという話があり、試作品を数個納入したところ、これが大手電機メーカーの高い評価を得て、以後、当社はIC関連の治具メーカーとして走り始めました。現在、当社はそのスチール製治具分野では国内市場の8割という圧倒的シェアを誇っています。その技術力のポイントは、他社の追従を許さない超精密加工にあります。従来1μが限界といわれていた治具の誤差を0.5μまで縮小する技術は世界トップレベルと自負しております。

 98年には粕屋郡志免町に新本社を建設、また99年9月、福岡県前原市の金型メーカーを子会社化し、2000年5月、約1300平方メートルの同社新本社工場を志摩町に建設しました。一方、99年12月には、当社本社敷地内に自動機などの生産を行なう第二工場を新設、2000年から本格稼働を開始して半導体関連装置や自動機の生産、また、2004年6月には超々精密形状創成加工機を導入しました。

 今後は、これまで蓄積した技術、ノウハウを生かし、新たな展開を図るためにも、治具に加え、セラミックス精密加工、自動機・金型を経営の三本柱として確立する方針です。

 私たち大塚精工は今、液晶関連・自動車関連などの分野にも業容を拡大し、先端技術と職人技が融合したローテクベンチャーの旗手として超精密加工のオールマイティ企業を目指しています。


■磁気抵抗(MR)ヘッドの製造用治工具
磁気抵抗(MR)ヘッドの製造用工治工具
 サブミクロンの寸法公差をクリアした技術力で製作した当社の治工具は多くのお客様から高い評価を頂き、おかげさまでこの分野では国内トップシェアの位置にあります。

 ある大手メーカー様に当社の治具を導入して頂いた結果、それまで5%近くあった不良率が0%になったという実績もございます。

経営に当たり心がけられてこられたことは
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 創業以来「他社より優れたものを作る」ことを心がけてきました。当社は超精密加工技術が商品であり、優れたものを作っていれば、自ずと仕事は回ってくると考えています。現在、スチール製治工具、セラミックスの精密加工、自動機・金型が事業の三本柱です。主力商品である磁気ヘッド製造用治具は、ハードディスク装置に使われる磁気ヘッドの製造工程で加工品などを固定する器具です。この精度が加工品の精度や不良品率に影響を与えますので高い精度が求められます。現在、寸法誤差0.5ミクロンを実現しています。磁気ヘッド用スチール製治具は国内市場で当社が約8割のシェアを占めているとみています。
 20年ほど前に加工が難しいとされるセラミックス製治具も商品化しました。当社の基本である研磨技術があったからこそ、商品化できました。セラミックス製は耐摩耗性に優れ、精度が維持されるために、加工品の不良品率が下がります。ある大手電機メーカーでは5%近くあった不良品率が、当社のセラミックス製治具を導入した後はほぼゼロになったといいます。国内でセラミックス製治具の難しい仕事のほとんどを当社が引き受けているとみています。
高精度な加工のできる秘訣は
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 精度を出すことは大変難しいのですが、どこの企業でもやろうと思ったらできると思います。ただ他社はコストなどからそこまでやらないのではないか。いいもの、高精度のものを作ろうとする気構えを持ち、途中であきらめず、忍耐と執念を持ってやればできます。当社の機械は、独自仕様で作ってもらうものもありますが、決して他社が入手できないものではありません。同業者の方が見学に来られてよく言われるのですが、「特別な機械がないのに、なぜ高精度なものができるのだろう」と。あきらめずに目標に取り組む。そして、それを達成する。その達成感と満足感が社員のやる気や次への挑戦意欲を引き出し、その課程で得られた経験、技術、ノウハウが蓄積されて当社の超精密加工技術になっているのだと考えています。
人材の採用で苦労はありませんか
画像 当初はなかなか人が集まらずに苦労しましたが、最近では学卒者もきてくれます。インターネットを見て、ぜひこの仕事をやりたいと大阪から転職してきた人もいます。私の経験では、物静かな人の方がものづくりに向いている人が多いですね。ものづくりは言い訳の効かない世界です。良いか、悪いかの結果がすべてであり、言い訳は必要ありません。
今後の事業展開についてお聞かせください
画像 スチール製治具、セラミック精密加工、自動機は医療、真空関係などに伸ばしていきます。さらに、期待をかけているのが岩手大学の吉澤正人教授と共同開発したオールセラミックス製のリニアステージです。当社の高精度加工技術とセラミックス加工技術を生かして開発しました。水平に2軸で前後、左右に作業テーブルを移動できるもので、今までスチール製だったガイドレールをはじめすべての部材をセラミックス製に画像したのが特徴です。セラミックス製のため磁場の発生を従来の100分の1に抑えられます。磁気センサー、顕微鏡、測定器のテーブルなど幅広い応用が期待できます。また、お客様の高度な要求に応えられるよう寸法誤差0.3ミクロンを視野に入れて、さらに高精度な製品づくりに取り組んでいきます。

製品案内
■精密金型の製作および組立調整
  >>プラスチックフィルム打抜き型
プラスチックフィルム打抜き型

  >>基盤打抜き型
基盤打抜き型

■セラミック製クロスローラーテーブル
セラミック製クロスローラーテーブル

私たちの、本当の商品は職人さん達の鍛え上げた加工技術と、それをベースにした、ユニークな設計です
加工精度
加工精度
設備一覧
設備一覧
セラミックスのご提案
■はじめに
 セラミックという言葉はヨーロッパで生まれた言葉で「焼き固めたもの」という意味であり、従来は陶磁器、レンガ、タイル、セメント、ガラスなどのいわゆる窯業製品を指していました。このようなセラミックをクラシックセラミックともよんでいます。

 クラシックセラミックに対して、人工的原料あるいは化学的に処理した高純度原料を用い、新規の優れた特性をもつセラミックを、エンジニアセラミックスまたはファインセラミックスとよんでいます。 エンジニアセラミックスは、高度に精製された原料の中から目的に応じた材質を選択・使用することによりその優れた性能を最大限に発揮させることが可能です。

 現在では機械産業や半導体製造産業をはじめ、あらゆる分野で幅広く使用されており、さらに従来素材の性能では成し得なかった新しい用途開発が進められています。

■エンジニアセラミックスの一般的特徴
>> (長所)  1.硬い、2.熱に強い、3.さびない、4.燃えない、5.薬品に侵されない、6.傷つかない、7.一般に電気を通さない、8.優れた電気的・工学的特性
>> (短所)  1.脆い、2.加工しにくい
■エンジニアセラミックスの種類
アルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素などが一般的によく知られています
■エンジニアセラミックスの機械加工性
これまで培ってきた独自の加工ノウハウにより、金属で加工可能な形状はセラミックスでもほとんど可能になりました
一般的にセラミックスは電気を通しませんので、放電加工は不可能と思われがちですが、導電性のセラミックスもありますので、形状によっては放電加工も可能です

大塚精工株式会社本社にて 代表取締役 大塚 博 氏
聞き手  財団法人経済産業調査会編集特別顧問 岡村 信克

この記事は当会の 会員資料 および 経済産業公報(2006年 10月 13日号)に掲載されます。
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