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  新連載・エクセレントカンパニー
  成長注目企業の社長に聞く
ナカシマプロペラ(株)常務取締役 中島 義雄 氏
会社プロフィール
企業名
ナカシマプロペラ株式会社
資本金
13,000万円
従業員
510人(グループ)
設立年
昭和元年
事業内容
船舶用機器
人工関節等医療機器
住宅向けインテリア商品
環境改善装置
非鉄金属鋳造品
WEBサイト
活力ある21世紀の担い手はエクセレントカンパニー  意欲ある戦略的な経営者に登場して頂いた
人と社会の最適創造に向かって
貴社の生い立ちは
画像  80年前、鉄の鋳物職人であった初代が、勤めていた工場から独立する際、同業では申し訳ないということで、非鉄である銅合金を使った鋳物であるプロペラづくりを始めました。当時は小さな町工場で小型の船舶のプロペラを中心に作っておりましたが、昭和36年現在の地に工場を移転し、大型船のプロペラづくりにコンセプトを変え、だんだんと会社を大きくしていき、現在では船舶用プロペラの分野では国内70%、海外30%のシェアがあります。

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沿革

ナカシマプロペラ(株)イメージ

ナカシマミュージアム[博物館]
ナカシマミュージアム[博物館]
最適創造カンパニーとは
画像 もともとプロペラというものは、一品生産のものです。当社では年間1万枚のプロペラを出荷していますが、その全てが設計から始めるものです。つまり、オーダーメイドでお客様の要望に応えた最適なプロペラを提供する、というのが当社のコンセプトです。それを実現するために職人芸的技術とか、IT技術を駆使した設計などをうまく使っています。プロペラの設計をする場合、まずコンピュータを使い設計しますが、その際、船の形状、エンジンの仕様、さらにどの様な場所でどの程度のスピードで走るのかといったデータをいただきます。さらに設計の担当が造船所さんや船主さんによって違う細かな部分をお聞きし、いわゆる職人芸で設計をします。その図面を基に鋳物を製造する段階でも、機械でできるところと人間の手が必要なところと両方ありますが、製造の現場でも最適化ということで、効率よく、ローコストで納期短縮ができるような生産体制を敷いています。全てが自動化という訳ではありませんが、人間と機械とがバランスよく生産効率を上げるという意味での最適化で、最終的にはお客様に一番見合った商品を提供していこうとしております。

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100万個、100万種類の最適創造
100万個、100万種類の最適創造
 私たちナカシマプロペラは1926年に創業しました。その間に私たちが作ってきたプロペラは約100万個。そしてその数がほとんどそのまま100万種類であるところに、私たちの個性があります。この究極の一品生産を可能にしているのは、人間技とデジタル技術のふたつのテクノロジーです。一見矛盾しそうな人間の能力とコンピュータサイエンスの成果がなければ、今日のプロペラが、いまほどの性能や信頼性を得ることはできなかったことでしょう。
>>>企業理念のご紹介
最適創造カンパニー
最適
最高ではなく、様々な要素がバランスよく整った、最良の状態を指します。あちら立てればこちら立たずのときが多いもの。そんなときでも、お客様に納得していただけるモノ作りやサービスを心がけたいと願っています。
創造
組み立てが数値によるモノづくりなら、すり合わせは触覚や視覚によるモノづくりです。数値を得意とするのはコンピュータ、触覚や視覚に優れるのは人間。巨大なひと塊の金属を最適商品としてお届けする私たちの仕事は、どこまでも人間的です。
カンパニー
カンパニーの本来の意味は仲間たちです。私たちは企業人であっても、家族、企業、社会の一員であることを忘れず、最適創造に自信と誇りをもって取り組みたいと思います。その営みを感動のカンパニーとして人々と共有することが私たちの願いです。
多角化経営の戦略について
画像
 船の世界の仕事をするのでなく、違う分野に事業を展開しているのが特徴です。造船業というのは景気の影響を受けやすい業種ですので、同じ造船関連の仕事をしていると影響を受けてしまいます。そこで、違った業種に転化していきたいというところから出発しました。企業全体の安定を考えると良いかと思いますが、当然苦労もあります。会社としては多少苦労しても良いから違った分野で仕事をして、そこでグループ全体の安定感をはかりたいという気持ちが働いております。当社の持っているCAD/CAM技術ですとか、3次元の加工技術などを他の分野で展開していくために色々な分野に参画しております。

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グループ企業
ナカシマエンジニリアリング(株)
環境演出商品の企画・施工・販売/船舶用推進機器の技術コンサルタント
(株)システムズナカシマ
CAD/CAMシステム・業務システムの開発販売/コンピュータ関連機器の販売
サンメディカル(株)
環境演出商品の企画・施工・販売/船舶用推進機器の技術コンサルタント
(株)ナック
CAD/CAMシステム・業務システムの開発販売/コンピュータ関連機器の販売
ナカシマプロダクツ
医療機器  人工関節
私たちは複雑な曲面で構成されているプロペラの設定・製作・加工技術を人工関節の製作に応用します。
生活演出  ハイテク・クラフト
ハイテク・クラフト
プロペラ製造の要である職人技とデジタル技術を、生活用品のデザインと製造に応用しています。
環境改善  密度流拡散装置
密度流拡散装置
プロペラから学んだ様々な経験と技術を応用して環境改善のお手伝いをしています。
景観演出  カリヨン
カリヨン
プロペラの強度解析技術を応用して、地域文化にふさわしい環境演出商品を設計・製造しています。
メディカル事業は成長著しいようですね
 80年代にチタンを使い、ものを作るということが流行った時期がありました。耐食性があり、軽くて強い良い材料ですので、マーケットに出まわり始めると、チタンを使いビジネスを始めようという話が色々と出始めました。当社でもチタンを使いプロペラを作ってみましたが、製品が高すぎて売れませんでした。
画像 そのころ整形外科の先生が当社に見学にいらっしゃいました。プロペラの曲面加工などをご覧になった後、「これだけの加工技術をお持ちなら、人工関節もできませんかね」ということをおっしゃいました。チタンというものは体内に入れても良い材料で、生体親和性も非常に優れていますし、曲面加工にも自信がありましたので、参入しました。しかし現実はなかなか厳しく、医療品業界というのはかなりタテ割り社会でして、良いものを作っても開発に携わって頂いた先生方しか使って頂けず、軌道に乗るまで7〜8年はかかりました。医療器具のマーケットというのは8割方が欧米のメーカの製品で占められています。残りの2割方を日本のメーカーで競っています。現実には日本の患者さんには欧米の方々と体型・サイズ・生活様式と細かなところで食い違いがありますので、当社では、日本のドクターのニーズに合わせ日本の患者さんにあった製品を提供したいと考え、研究開発をしております。
 当社では産学官の連携ということで、医学部の先生方や、工学系の先生ですとか、いろいろな企業の方々とネットワークを組み、商品開発をしておりました。そのネットワークから京都大学の先生のコンセプトより出てきた世界初となる製品が、人工関節の摺動部分に入る「ビタミンEを添加したポリエチレン」です。人工関節というものは金属でできています。その金属と金属のパーツの間に軟骨(半月板)の代わりとなる超高分子量ポリエチレンというプラスティックのようなものが入ります。現状ではこれが体内で酸化劣化し、だんだんもろくなり5年から10年ぐらいで再度置換手術を受けなくてはならない場合があります。この劣化を防ぐにはということで酸化防止剤であるビタミンEを添加したポリエチレンを開発しました。治験も完了し、認可の準備を進めております。

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あなたの身体に最適 人工膝関節
人工膝関節    
人工肘関節
 人工肘関節 
人工足関節
 人工足関節 
これからの経営戦略は
 現在メディカル部門の売上げは20億円ほどです。社長からはマーケットの一割ほどの売上げをあげるよういわれております。1000億ほどのマーケットですので100億ほどになります。急には無理ですのでまずは、3年間で50億に売上げを伸ばそうと考えています。それに向け、どの様な商品を作っていくか、開発時期をいつにするか、どの辺のユーザーに販売するか等の戦略を現在たてています。私は、マーケットの中での存在感が重要なのでは、と思っております。その為にも存在基盤を作らねば、とがんばっております。

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日本人に適した、カスタムメイドの人工関節を目指します
解析
解析
CTデータから骨の輪郭形状を抽出し間接部の3次元データを作成することで、解剖学的形状の確認を行います。
設計
設計
解剖学的形状の確認後、コンセプトに基づいた人工関節をデザインします。機能と力学的強度などを確認して製品化します。
評価
評価
人工関節の寿命は、患者さんにとって最も重要な要素です。私たちは、人工関節の動作解析データを基に、より生体に近い環境下で製品の耐久性評価を行っています。
製造
製造
人工関節の耐久性は軟骨の代用となるポリエチレンシートに左右されます。私たちは世界でも有数の「Direct Compression Molding」を採用して、最高品質の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を提供しています。
研究
研究
新しい医療機器の開発にあたっては、産官学の連携が不可欠です。医学および工学の専門家や医療関連メーカーと定期的に研究会を開催して、最新のニーズに応えるべく情報交換を行っています。

ナカシマプロペラ株式会社本社にて  常務取締役  中島 義雄 氏
聞き手 財団法人経済産業調査会特別顧問  岡村 信克

この記事は当会の 会員資料 および 経済産業公報(2006年 4月 7日号)に掲載されます。
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