お客様からの「こういうものができないか」というニーズが開発のきっかけでした。あるエンジニアリング会社から、多軸穴開け加工用の治具が加工しているうちに熱で芯間がくるうので、熱膨張の少ないものはできないかという要望がありました。そこでニレジストの低熱膨張性鋳鉄を納入いたしましたが、これでは熱膨張が大きくて駄目だとなりました。それならば、我々でもっと熱膨張の小さい金属を開発してみようと決断し、研究に取り組み、「ノビナイト」を作ることに成功しました。本来、新しい金属を作るということは中小企業の仕事の範ちゅうではありませんが、ニーズがあったからこそ、我々は挑戦し開発することができました。
「ノビナイト」は低熱膨張のほかに、耐熱性、制振性に優れるという特徴を持っています。また、さまざまなニーズに応えられるように低熱膨張と強度が必要な部品向けのものや、400〜500度Cでも熱膨張が少ないものなど種類を増やしています。耐熱性にも優れたものは、高速船の排気管の代替として採用され、最初はたくさん出ましたが、なかなか壊れないので、その後、販売が伸び悩んだという思わぬ悩みもあります。
現在、伸びているのは半導体関係です。川上分野ではシリコンのインゴットを精密に切断する装置の構造材に使われています。またシリコンウエハーの研磨機械の研磨台や液晶製造などで使われる真空ポンプの部品も伸びています。