ことし六月公表された『男女共同参画
白書』を読まれた方はいらっしゃるで
しょうか。
毎年愛読しているのですが、ことしの白
書を読んで驚きました。それは「男性活躍」
という言葉が使われていたからです。
小倉男女共同参画担当大臣は巻頭の
メッセージで、日本の男女共同参画・女
性活躍について、「国際的に見れば、未だ
立ち遅れており、取組は道半ば」とした
上で「こうした現状の背景には、家事・
育児等の無償労働時間の女性への偏りや
長時間労働を前提とした労働慣行、固定
的な性別役割分担意識といった、人々の
日々の生活や意識に根差した構造的な問
題がある」、そして、その解決に重要なの
は、「男性活躍」だと指摘しています。
これまでは「女性活躍」、女性が仕事で
活躍できるように両立支援などの取り組
みが進められてきましたが、それだけで
はダメで、男性が家庭・地域で活躍でき
る「男性活躍」とともに進めることが男
女共同参画社会実現の鍵だとしています。
白書には、若い世代の意識の変化を示
すデータも示されていて、子どものいる
20代と30代の男性は「仕事時間」を
「減らしたい」が34.1%で「増やした
い」の約二倍。一方、「家事・育児時間」
を「増やしたい」は27.7%で「減らし
たい」の約二倍でした。
「仕事時間」を減らしたいのに減らしに
くい理由を見てみると、どの世代でも多
かったのは「仕事量が多く、仕事・業務
が終わらない」、「職場の人手不足」でし
たが、20代と30代の男性が他の世代
と比べ多かったのは「残業する人を評価
する風潮がある」、「周囲が家族より仕事
を優先すべきと考えている」、「将来的に
昇進・昇格がしにくくなる」でした。
白書は、「男性は仕事、女性は家庭」と
いう「昭和モデル」から、誰もが家庭で
も仕事でも活躍できる「令和モデル」に
切り替えるべきだ、としていますが、そ
の実現に大きな役割を果たすのが企業で
す。
そこで、一つの取り組みとして紹介し
たいのが、子ども支援を行うNPO「キッ
ズドア」の渡辺由美子理事長が提案して
いる、企業などが水曜午後を社会貢献の
時間に、という「ソーシャルウェンズ
デー」です。
平日の午後、家族と過ごしたり、子ど
も食堂などでのボランティアをしたり、
リスキリングなどに時間を使えるように
することは、家庭・地域での「男性活躍」
の実現だけでなく、企業の社会貢献活動、
社員のウェルビーイングの向上にもつな
がると思います。
ぜひ、皆さんには「これから」のため
に行動を、また、行動する人の背中を押
してほしいと思います。また「こんな取
り組みしているよ」ということがあれば、
ぜひお知らせください。
次号は、ジャーナリストで元ジャパンタイムズ執行役員の大門小百合さんにお願いいたします。