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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2023. 5  RIETI  LETTER
産業革命に次ぐウェルビーイング革命を顔画像と経歴



株式会社LIFULL
代表取締役社長  井上  高志

 LIFULLという社名は「あらゆる LIFEを、FULLにする。」という覚 悟を込めたものだ。金儲けのための事業 ではなく、徹頭徹尾、事業を通じて社会 課題を解決することを目的にしている。 その原点は京セラ創業者の稲盛和夫氏に 学んだ「利他主義」をベースに経営をす ることだ。

 「経済」という言葉は英語のeconomy ではなく、語源は経世済民だ。 その意味は「「世(よ)を経(お)さめ、 民(たみ)を済(た)すく」。

 つまり利己的に資本主義と市場原理に 則って金さえ稼げば良いということでは なく、経済とは社会や国を上手に治めて、 市民を助けていくこと。

 企業経営でいえば内部留保だけでな く、公益資本主義の考えに従って社中(顧 客、従業員、取引先、株主、地球環境) にバランスよく配分して永続的に社会や 民のために活動をし続けていくこと。 私の人生のビジョンは「世界平和」と 「人類の幸福」。

 100歳までに両方達成したいと強く 思って行動している。

 前号は幸福学の第一人者の前野先生、 次号は地球に精通する先生なので、私の 回では幸福と、世界平和と、地球の関係 性について触れてから、私は「世界平和」 に焦点を当てて、実現に向けた二つの処 方箋を紹介し次の号にバトンを渡したい。 まず地球の気温が上昇し、気候変動、 生態系の急激な変化、海面上昇、干ばつ、 水や食料の安全保障など様々な混乱に直 面したときに人々は家族や国民を守りた い一心で、手元に水や食料がなければ暴 力に訴えてでも力づくで奪ってきた歴史 をまた繰り返すことになるかもしれな い。奪い合いの恐怖に晒された国々は軍 備を強化するだろう。そのような状況で 人々のWell-being な状態など維持できる はずがない。

 ウクライナ、シリア、アフガニスタン、 ミャンマー、ロヒンギャなど地球上の多 くの場所で惨状が続いている。今ほど平 和に対して世界中の人々の関心が強く なっているのは第二次大戦以降初めてだ ろう。

RIETI LETTER 表紙画像  たまたま今は戦争がないという状態を 消極的平和(Negative peace)と言い、 一方で戦争を無くし、飢餓・抑圧・差 別など社会構造に起因する間接的な暴力 (構造的暴力)も能動的な行動で解消して いくことを積極的平和(Positive peace) と言います。

 積極的平和の実現には国家だけでなく 私たち市民も対話と共感の力で、多文化 感受性を高め、すべての人と生命を尊び、 行動し続けることが必要です。常日頃か ら諸外国とも対話の力で相互の調和を築 き上げていくことです。

 私は毎年9月21日のピースデーに フェスを開催し行動する仲間を増やし 100万人以上のムーブメントに育てて いく活動を財団で行っています。 また、人々が争わないで済む社会を創 るために取り組んでいるのは(一社)ナ スコンバレーで限界費用ゼロ社会を実現 すること。

 近い将来、AI、ロボットで人々は週 に5時間しか働かなくても済むようにな るが、収入も10分の1になる。 その時に生活コストが下がっていなけ れば悲惨な状況で人生120年時代を送 ることになる。そうならないためにも生 活コストを10分の1にし、水、食料、 エネルギー、住まい、教育、医療、働く、 などの分野で限界費用ゼロをテクノロ ジーで実現する。世界中が潤沢すぎる社 会にできれば戦争などのROIの悪い策 を選択することを無くせると信じてい る。世界中のあらゆる人々が愛する人と 穏やかな心休まる時間を過ごしたいと 願っているのだから。


次号は、文化人類学者の竹村眞一氏にお願いいたします。

リレーエッセイ 「消極的平和と積極的平和」(リーチレター 2023年5月号)
株式会社LIFULL 代表取締役社長  井上  高志

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