どんぐりピット合同会社は2020年
に創業した食農ベンチャーです。フード
ロスゼロと豊かな社会をつくることを会
社理念とし、人と人との繋がりでフード
ロスゼロを実現する「シェア冷蔵庫」を
開発しました。
シェア冷蔵庫とは、出品者と消費者を
直接つなぐ冷蔵庫で、駅や公民館、オ
フィスなどに設置し、地域の中で食品を
気軽に売買できるサービスです。例えば
農作物の場合、農家は採れた野菜を自由
に価格設定し、好きなタイミングで冷蔵
庫に納品する。消費者はあらかじめスマ
ホで登録することで販売商品や出品者
の情報を見ることができ、QRコードを
かざせば冷蔵庫のカギが開いてキャッ
シュレスで商品の購入ができる。商品が
他者に盗難されることもなく、また出品
者も売上金の管理をする手間がないと
いう安心で便利に利用できる画期的な
仕組みです。
人と人との繋がりが希薄になりつつあ
る現代社会において、シェア冷蔵庫は
フードロスの削減だけでなく、地域内の
コミュニケーションツールとしても活躍
できると考えます。
どんぐりピットの特徴としては、愛知
県にある自動車メーカーのエンジニア達
が兼業起業として設立したところです。
コロナ禍において在宅勤務などにより働
き方が大きく変わりました。また、厚生
労働省から副業・兼業に関わるガイドラ
インが発表されたことをきっかけに、自
動車メーカーでも副業が解禁されまし
た。終身雇用の崩壊が叫ばれる中、大企
業に働きながら、兼業や副業で自己スキ
ルを磨くことで、本業にもメリットのあ
るこの新たな働き方は、在宅勤務や週休
三日などの制度拡大によって可能になっ
た働き方だと感じます。
愛知県ではスタートアップの総合支援
として、オープンイノベーションを促進
するための支援拠点「STATION Ai(ス
テーションエーアイ)」(名古屋市昭和区)
が2024年10月にオープンされる予
定であり、製造業が盛んな愛知県におい
て、大企業の兼業人材を増加させること
でスタートアップがこれまで以上に活性
化されると考えております。
その中で、社会課題解決を目指した
ソーシャルグッドベンチャーが特に注目
されています。
例えばフードロスのような問題は、各
個人では日頃なかなか意識しないが、日
本全体における年間食品ロスは600万
トンあると言われており、持続可能な社
会の実現のためになにか行動をする必要
があるが、ビジネスとして成立させるに
は一筋縄ではいかない社会課題が多く存
在しています。
そのような社会課題を我々のような兼
業人材がモノづくりというスキルを使い
ながら挑戦することで、成功すれば社会
インパクトが大きく、失敗しても本業と
いう保険があることにより、起業自体の
ハードルを下げることも可能だと考えま
す。
スタートアップの強みと大企業の強み
の両側面をうまく使いながら、兼業起業
という挑戦でシェア冷蔵庫の普及を目指
し、豊かな社会の構築に貢献していきた
いと思います。
次号は、株式会社エンサポート代表取締役の山口勝也氏にお願いいたします。