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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2022. 10.  RIETI  LETTER
商社である自社の価値とは?顔画像と経歴



  三栄商事株式会社  代表取締役社長  後藤 正幸

 三栄商事株式会社は祖父が1950年 に名古屋市で工作機械の商社として創業 し今年で72年目を迎えました。私は 17年前に入社し、父から会社を引継い で九年が経とうとしています。

 創業時は、容易に商品が手に入らない 中、モノを調達できる商社というのは重 宝されていました。また、顧客にとって は情報源が限られる中、数多くのメー カー・顧客との接点があり、数多くの商 材を取り扱う商社からの情報にも大きな 価値がありました。

 しかし、インターネットが普及してく ると、顧客はモノや情報は直接手に入れ ることができるようになりました。生の 情報やインターネットでは入手できない モノもあるので、リアルな接点を持って いる商社に価値は残っているかもしれま せんが、それだけでは商社を活用する十 分な理由にはならなくなってきました。

 私は社長に就任してからメーカーとの M&Aを三社行いました。メーカーをグ ループに持つことで、ただの商社から自 動化・IoTが得意な商社へとスライド することはできましたが、世の中に新た な商社の価値を提供できるほどには至り ませんでした。次にトライしたのが、メー カーになる事でした。東大発ベンチャー と図面検索ソフト「blue assistant」を共 同開発しましたが、マーケティング不足・ 開発能力不足が原因で22年3月にサー ビスを終了しました。

RIETI LETTER 表紙画像  そんな中、新しいチャンスをくれたのが 名古屋三田会の後輩でした。彼にICC というベンチャーカンファレンスに誘って もらったことで自分の人生観が変わったの です。その場に集まる人達の情熱の強さ と本気度と新しい事へのチャレンジ精神 を目の当たりにして、業界では新しいこ とにチャレンジしていると思っていた自分 が恥ずかしくなりました。

 新たな挑戦を模索する中で、今までは 新しい価値を作っていこうと思っていた のですが、ある先輩から「なぜ自社の強 みをもっと活用しないのか?」と指摘さ れたことがきっかけで、自社の強みと新 たな取り組みとの融合が出来ないか?と いう視点で考えるようになりました。

 自社の強みを改めて見直すと、過去か ら蓄積された経験・信頼・ネットワーク がありました。一方ベンチャー企業には 世の中を変えていく斬新で素晴らしいア イデアがあります。そのアイデアを世の 中に出すためのサポートを出来れば、世 の中に価値のあるものを提供できるので はないかという思いに至りました。それ こそが「商社である自社の価値」だと気 付いたのです。

 商社は、自分で商品を持たないからこそ、 「顧客にとって価値あるスキーム」を考え、 「いかにして価値を生み出すか」を時代や 情勢に合わせて作っていく事が「価値」に なっていくのではないかと思いました。

 そして今は、アイデアを事業化するに あたって、商社である自社だからこそで きる「営業・調達・量産化・サービス」 の四つの視点からサポートが出来るよう にそれぞれのスペシャリストを目指して いこうと思っています。


次号は、三星グループ代表取締役社長の岩田真吾氏にお願いいたします。

リレーエッセイ 「商社である自社の価値とは?」(リーチレター 2022年10月号)
三栄商事株式会社  代表取締役社長  後藤 正幸

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