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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2022. 2.  RIETI  LETTER
ペイフォワードの文化が関西Startupを進化させる顔画像と経歴



  株式会社i−plug代表取締役CEO  中野 智哉

 この10年で関西のStartup エコシス テムは大きな変貌を遂げ、多くの起業家 たちが活躍する地域になってきています。 2021年のIPO件数は全国で137 社のうち関西エリアは17社(前年九93社中15社)と関西のIPOが増加して きています。2020年に「世界に伍す るスタートアップ・エコシステム拠点形 成戦略」の「グローバル拠点都市」とし て選定され、2025年には大阪万博を 開催、そしてその先の経済発展とともに 大きく躍進していくと感じています。

関西Startup の環境

 1302社のStartup が存在する関西 エリア。この数は、関東エリアに次ぐ規 模で多くの起業家たちが日々切磋琢磨し ています。

 Startup に必要な環境は「ヒト・モノ・ カネ」と言われます。まだ課題はあるも ののかなり恵まれてきています。ヒトに 関しては京阪神には多くの大学が存在 し、多様な人材が育っています。モノに 関してもテストフェーズでは企業協力、 産学連携や行政支援も豊富。導入フェー ズでも大手企業の協力体制も強化されて きております。カネの特徴は、デットファ イナンスの充実が挙げられます。メガバ ンクも地銀も積極的に支援しており全国 でもトップクラスの環境です。エクイ ティファイナンスは10億規模の調達が 徐々に増加、エンジェル投資家も増え若 手の支援も加速してます。

RIETI LETTER 表紙画像 Startup の成長に最も重要なもの

 ヒト・モノ・カネより重要なものは「互 いを刺激し合う起業家同士の強固なネッ トワーク」です。ここ数年でIPOした 株式会社スマレジ、Chatwork株式会社、 クックビズ株式会社、株式会社リグア、 そして急成長中の株式会社大都、akippa 株式会社、夢見る株式会社、株式会社レ スタス、BABY JOB 株式会社、株式会社 ネットオン。約10年前にサービスリ リースした仲間達です。何もない、誰も 知らないStartup が集まり、設立時期も 年齢も資金も環境も横並びの状態で、互 いを刺激し合うライバル同士となりまし た。関西起業家ネットワークには「ペイ フォワード」、“一杯の水を持ち寄る”と いう独特の文化があります。私はシナ ジーマーケティング株式会社の取締役会 長の谷井氏に教わりました。互いの経験 を持ち寄り、混ぜ合わせることで大きい 新たな経験になり、自分自身も成長でき る。先輩達から後輩起業家に「一杯の水」 が注がれ、私達世代が次の後輩につなげ ています。この文化が関西Startup エコ システムを進化させています。さらにこ の数年、行政のStartup 支援は一気に加 速し、全体の団結力が強化。その結果 Kansai Future Summit誕生しました。「おもろい .間が集まり、おもろいつながりを創る」 をテーマにした関西Startup が一堂に会 する大型イベントです。運営は関西 Startup 有志一同。実行委員会ボードメ ンバーも運営事務局も現役のStartup の 社長。全員が関西を盛り上げることを目 標に集まり、ペイフォワードの精神でス タートしました。第一回は2019年 11月24日に大阪で開催。Startup、大 手、銀行、VC、行政など322名が参加。 第2回は京都で356名。第3回は 2021年11月7日に神戸。参加者は 480名を超え大きなうねりが誕生して います。ここからの10年もペイフォ ワードの精神が中心となり、関西Startup のエコシステムが発展していくと感じて います。


次号は、株式会社大都代表取締役CEOの山田岳人氏にお願いいたします。

リレーエッセイ 「ペイフォワードの文化が関西Startupを進化させる」(リーチレター 2022年2月号)
株式会社i−plug代表取締役CEO  中野 智哉

 info@chosakai.or.jp
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