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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2021. 9.  RIETI  LETTER
事業承継の全く新しい形顔画像と経歴



  セラシオジャパン創業メンバー最高協業責任者  小澤 良介

 私は2020年10月に、当時23歳の 創業から18年間、100%オーナーとし て経営してきた家具インテリアECの会 社「リグナ」を、一部上場企業に売却した。 そして今、アメリカのユニコーン企業 である「Thrasio(セラシオ)」という会 社で、日本創業メンバー・最高協業責任 者という立場を担っている。セラシオ社 は、創業の2018年からわずか2年で ユニコーンとなった企業だ。世界各国に 拠点を構え、本社社員数は1000名を 超え、2021年1月時点での評価額は 約3300億円となっている。

 セラシオはアマゾンに出店するローカ ルブランドを買収し成長、協業、グロー バル化させ、グループ拡大をしていく米 新興企業。私が担当する日本マーケット においては、初期の買収資金として約 270億円が用意された。買収協業対象 としては、日本国内で自社オリジナル商 品を展開し、アマゾン( 今後は楽天、 Yahoo ストアなども対象とする予定)で 販売する年商1億円以上の中小企業と なっている。買収後セラシオのECプロ フェッショナルチームでそのブランドを 成長させ、そして世界展開をはかる。わか りやすく例えるなら世界的歌手のスー ザンボイル等を輩出した米国の有名な オーディション番組「Americas god talent」 の企業版とも言えるだろうか。

RIETI LETTER 表紙画像  M&Aや買収というキーワードを聞く と、恐ろしい、金の亡者などとネガティ ヴに捉える日本人が多い印象である。し かしアメリカでは非常にポピュラーで、 事業者のハッピーリタイアを実現する上 で欠かせない選択肢となっている。セラ シオに関しては、そのブランドをただ買 うだけではなく、成長させることを前提 で買収し、そのブランドを世界へ羽ばた かせることを目的としている。なので買っ た会社を転売などもしない。ファミリー として皆で世界を目指す集団なのだ。

 ここにおいては、「日本のものづくりを さらに世界へ!」が私の掲げる明確なビ ジョンだ。この想いは家具の製造販売リ グナの代表をしていた頃から変わらない。 セラシオの投じる資金で、より多くの日 本発信の良きプロダクト、クリエイター を世界へ羽ばたかせ、日本のM&Aに対 するイメージを全く違う次元にシフトし て行きたい。かつて多く存在した日本の スーパースターと言える企業をここから 輩出していくことが目標である。そして 売却のもつイメージを「ハッピーリタイ ア」だけではなく、世界へ向けた「ハッピー リスタート」という選択肢として新たに 掲げ、それを明確にしていく。

 リグナ売却からあっという間の次の展 開。自ら経験した会社売却。この売却を する方の気持ちがわかる立場で、そして、 そこで起こる様々な矛盾を改善すべく、 今度は逆の立場を生業とする。グローバ ル企業での、違うステージ、違うスケー ルでの新たな大きな挑戦となるが、人生 における最大のチャンスと捉え精一杯頑 張るつもりだ。

リレーエッセイ 「事業承継の全く新しい形」(リーチレター 2021年9月号) セラシオジャパン創業メンバー最高協業責任者 小澤 良介

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