起業して20年以上たち、それまで無縁だったスポーツビジネスに参入したのは、松下浩二氏との出会いでした。
タイトルは私が創業し今も経営をしている会社のミッションです。日本語では「健康と幸せ」と訳されます。皆さんは健康と幸せの関係について考えたことはありますか?松下氏からTリーグのチームを引き受けてほしいと依頼があった時、彼は「卓球は5歳で始めて15歳で世界のトップを目指せる競技。またお金をかけずして誰もができる競技です。こんな競技、他にありますか?」と懸命に語ったのを聞いて、これは私の志と一致すると直感しました。
私自身、19歳の時に父が会社を倒産させ蒸発したとき、市や県に相談に行っても相手にしてもらえず、新聞配達をしながら資金を貯め、夜間の大学に入り、起業した経緯があります。縁もない、コネもない、お金もない、そんな何もない状況からのスタートでした。
その経験から、強い地域、強い者のための社会ではなく、弱い地域、弱い者に光を当てる社会を創りたい、という思いが私の強い思いになりました。貧富の差に関係なく、また小柄な日本人でも世界で戦っていける卓球は、環境に左右されず誰もが挑戦できる競技であり、まさに実現したい社会に繋がるものであります。
そのような経緯でスポーツ界に参入したものの、最初から大きな壁に当たりました。旧知の経営者をはじめ様々な企業へスポンサー営業に行っても、「早川さんが経営する会社であれば、喜んで出資はするけど、スポンサーは…」といった反応が多く、厳しい現実を目の当たりにしました。どうして夢と感動を与えるスポーツにお金が集まらないのかを考え抜き、私がだした結論は次の三点です。
まず、ガバナンスが整備されていないこと。経理と財務が一緒であったり、監査が無かったりと、組織としての基本ができていないことが挙げられます。
次に、ディスクロージャーがされていないということ。PLやBSさえ作成されていないスポーツチームが多い。
そして、スポーツチームは過去に一度も市場のプライシングを受けていなという事実です。スポーツチームが持つ価値を公には評価されたことがない、つまりスポーツの価値が正確に世の中に伝わっていないことが原因だと考えました。
このままではスポーツビジネスを取り巻く環境は何も変わらない、自分が変えるしかないと思い、上場を決意しました。周囲からは創設間もない会社、しかもスポーツ会社が上場することを不安視されましたが、人生を捧げる思いで突き進むことにしました。
また、スポーツチームの多くはスポンサーに支えられて経営を行っていますが、スポンサー企業に万が一のことがあれば、そのままチームの崩壊に繋がる可能性があります。そうではなく、経営を支える株主を中心とした財務基盤を整えること
で、組織としても盤石な体制を整えることが、長期にわたり発展するために必要であると考えています。
まだ創設から約3年で、ようやく東京証券取引所 TOKYO PRO Market への上場承認にたどり着きました。
スポーツビジネス業界の発展に貢献できるよう、微力ながら全力で邁進してまいります。
次号は、、松建設(株)代表取締役社長の松 孝年氏にお願いいたします。