経営者をしているとインタビューなどで趣味を聞かれることが多いのですが、たいていは「旅行」と答えています。私は昔から旅行が好きで、家族や友人と一緒に様々な場所へ行き、いろいろな旅を経験してきました。
学生時代の旅行で印象に残っているのはバリ島です。所属していた競技スキーの愛好会の伝統で毎年夏になるとバリ島に行っていたのですが、そこで私にとってのビジネスの原体験とも言える経験をしています。当時バリ島はものすごく物価が安かったので、日本との物価の差を利用して何か仕入れて日本で売れば利益が出るだろうと思い、ミュージックテープを仕入れていくつかの大学の学園祭で販売していました。それも大量購入することで単価を下げることに成功。さらには、ただ安いだけではなく日本では買えないコンテンツが人気で、希少価値の重要性や仕入行為の大切さと
いうものを実践で学んでいました(バリ島への旅費二回分くらいは稼ぎましたね)。
他にも、旅行によって得られることというのは多々ありますが、若いうちから様々な国の「価値観の違い」を肌感覚で理解できたことは、今のビジネススキルのベースになっている気がします。
最近は、新しいメンバー、特に経営者仲間と旅行をする機会が増えています。というより、意識的に行くようにしています。なぜなら、都内でスーツ姿で何度も食事をするより、一度でもいいから一緒に旅行に出かけ、同じ時間を過ごすだけで多くのことがわかるからです。
先日は、所属しているある経営者団体のプログラムの一環で国際会議に参加するため、40名以上の大人数でロサンゼルスまで行ってきました。その組織のメンバーはほとんどが同世代のため、まるで学生時代に戻ったかのようで、修学旅行のような感覚を味わいました。そこでは、旅先での開放感が人となりを浮き彫りにするのか、普段は見えない姿、その人の本質というものを見て取ることができ、それほど親しくなかった人ともすぐに打ち解けることができました。このように皆で共有体験を重ね、共通の思い出づくりをすることで、ぐっと距離が縮まり、その後の繋がりが深まっていきます。
学生時代とは異なり、社会人になってから、特に経営者という立場ですとどうしてもビジネスの視点で人と付き合うことが多くなりますが、そういった利害関係抜きで信頼できる仲間ができるというのは非常に得難い経験だと思っています。このような仲間との付き合いの中で常に新たな発見がありますし、人として高め合うことができます。
これからも様々な「旅行」を通じて、人生の幅を広げていきたいですね。