エナジーグリーンは何をしている会社ですか?と聞かれると、いつも即答できずにつまる。「環境価値」を売っている会社です・・と答えても、たいていの人は「?」だからだ。「環境価値」とは何か。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが持っている地球環境に優しい「力」だ。有害な排気ガスも放射能も出さないし、地球温暖化を促進するCO2も出さない。何よりすごいのは、枯渇しないということだ。
石油、石炭、天然ガス、原子力発電の燃料のウランも地下資源。やがていずれは枯渇して使えなくなる。しかし風も太陽も水も地熱も枯渇することはない。森林も人間が計画的に活用と植林を行えば枯渇はしない。これはすごい力だが、これまで人類の間ではあまり評価されてこなかった。
評価されなかったという意味は、お金が払われなかったということ。森林などのバイオマスは別にして、誰も風や太陽や川の水にお金を払ってはいない。でも彼らは生き物を育て、環境を美しくきれいにし、人間を癒してくれている。そして彼らは発電だってできるのだ。
でも、彼らの発電は気まぐれで、変動が大きく、原子力発電なんかに比べると使い物にならない電気だと日本では思われている。「日本では」と書いたのは他の国では違うからだ。ヨーロッパでは、ドイツが全電力の20%を再生可能エネルギーでまかなっているし、スペインでは供給電力の60%まで風力発電になったりする。今や先進国では「日本が特別」なのだ
諸外国で再生可能エネルギーがこんなに普及した原因は、何らかの方法で「環境価値」にお金を払ったからだ。昨年から日本でもはじまった「固定価格買取制度」もその一つの方法だが、これだけではまだ不十分。電力が全面自由化されているヨーロッパやアメリカでは、再生可能エネルギーの電気は、ほかの電気より高く買われ
ている。つまり、環境価値分が高いのだ。
日本ではまだ一般家庭まで電力が自由化されていない。自由化されている高圧電力契約の施設でも、送電システムの限界で風力や太陽光発電の電気を買うことはほとんど不可能。そこで生まれたのが「環境価値」だけ売る仕組みだ。
送電線の中ではどうせ電気は混ざってしまう。原子力の電気と太陽光の電気の区別はできない。しかも太陽光や風力の電気は、とても遠くまでは届かない。それは諸外国でも一緒で、電気は近くの発電所の電気が来るが、お金を払うのは遠くの契約している発電所でかまわない。それならば、電気は送電線からの電気を使ってもらい、「環境価値」は別ルートで遠くの発電所のものを届ければ同じことになる。その別ルートがグリーン電力証書という仕組み。もう10年以上、日本で活用されて来た仕組みだ。
つまり「環境価値が届いたよ」という証明書、それがグリーン電力証書で、それを売るのが私の会社の仕事だ。これは、やがて日本中に再生可能エネルギーがあふれる社会になるという「夢」を売る仕事でもある。