ロンドンオリンピック開幕まで100日を切りました。7月27日のロンドン・オリンピックスタジアムでの開会式を皮切りに、8月12日まで三週間二六競技の熱戦が繰り広げられます。
日ごろスポーツ観戦しない人もオリンピックは特別。自国アスリートの活躍に一喜一憂、日本選手のメダル獲得となれば日本人としての誇りを感じ、普段の生活でそれほど感じていない愛国心の芽が花開きます。
今回のオリンピックでは、伝統的なお家芸と言われる柔道、体操、競泳にメダルの期待がかかりますが、新興勢力のサッカーにも注目が集まっています。特に女子サッカー「なでしこジャパン」の昨年からの活躍は周知のとおり、震災で塞ぎこんでいた私たち日本人の心に希望の灯をともしてくれました。
1964年東京オリンピックの女子バレー「東洋の魔女」が日本高度成長期のシンボルになったように、ドイツW―CUP優勝に続いてロンドンオリンピックの金メダルを獲得して、震災後の日本復興のシンボルになってもらいたいと願います。私がスポーツマネジメント業に長年携わっていて感じることは、スーパースターと呼ばれるトップアスリートには、ふたつの価値が備わっているということです。
ひとつは、アスリートとしての本質的な価値。
これは、「より早く、より強く、より高く」といったアスリートとして磨いてきた技能によるものです。
そしてもうひとつは、(社会)人としての価値。
ものごとと真摯に向き合う姿勢、コミュニケーション能力、リーダーシップなど、私たちの社会で必要とされる能力を、優れたアスリートたちは備えています。
だからこそ、トップアスリートの言葉には力があります。サッカー日本代表キャプテン長谷部誠選手の著書『心を整える。』が100万部超のベストセラーになったのも、多くの人がトップアスリートの言葉から、生活の心構えであったり、仕事に挑む意識であったり、何かしらを得ようと思っているからだと思います。
最近の印象に残った言葉は、「FIFA最優秀選手賞」受賞会見での澤穂希選手のコメントです。
『たくさんの子供たちに目標や夢を持ってもらえたらいい。「不可能はない」ということを証明できた。』
女子サッカーの不遇時代から日本代表を牽引してきたリーダーから、次世代に向けた力強いメッセージです。
オリンピックでも印象的な言葉が生まれてきました。女子アスリートで有名なのは、バルセロナオリンピック(1992年)の14歳の金メダリスト、岩崎恭子選手の「今まで生きてきた中で、一番幸せです。」でしょうか。
感動のコメントや、意外な場面で飛び出た思いがけない言葉が、オリンピック後の社会現象にまで発展することもあります。女子アスリートの躍進が大いに期待されるロンドンオリンピック。どの女子アスリートがヒロインとなり、どんな言葉を残してくれるのか。注目したいと思います。