2011年の世相を表す漢字は「絆」でした。これは、甚大な被害をもたらした3月11日の東日本大震災で、多くの日本人が「絆」の大切さを改めて感じた一年であったからに他なりません。皮肉にもこの大災害が、高度成長期を経て日本人が忘れかけていた「心」を改めて思い起こさせた、そんな大切な一年であったように思われます。
さて我々は、メインブランドである「kanko」を中心に学生服を製造しております。「kanko(カンコー)」は、
学問の神様、菅原道真公の呼び名「菅公(カンコー)」に由来し、名付けられました。現在でも、菅原道真公は太宰府天満宮・北野天満宮のほか全国で祭られ、勉学に励む人たちの象徴的な存在として広く親しまれています。また、学者でありながら政治の道を志し右大臣にまで出世しましたが、時の権力者に疎まれ左遷されています。このように「kanko」ブランドには、子供たちの学業成就を願い、健やかに学び、育ってほしいという想いが込められているのと同時に、流刑に遭ってまで信念を貫いた菅原道真公にならい、自分の夢やこうありたいという強い想いを持つことの大切さを伝えていきたいとも考えております。
「男の子は学ラン、女の子はセーラー服」がお決まりだったのも今は昔、現在では様々なデザインの学生服が多くなっているのを皆さんもよくご存知ではないかと思います。20年ほど前より、少子化による学校の特色作りの一環として、学生服にもオリジナリティが求められるようになりました。しかし、それは単なるオシャレではなく、学校の理念や想いを学生服に反映させる意味でのことです。
もともと学生服には様々な効用があり、「着用者の所属を示す」ことや、「学校内の秩序を保つ」ことなどが挙げられます。しかし何よりも「学校への帰属意識を高揚させ、連帯感や仲間意識を醸成する」という一面が、学生服を着用する意義のなかでも特に大切な要素ではないかと考えております。
生徒にこうあって欲しいという強い想いが込められた学生服を生徒全員で身に纏うわけですから、見た目で一体感が生まれるのはもちろんのこと、三年間着用することでその想いに毎日触れることになります。それがやがて愛校心となり、同じ時間を過ごした仲間との「絆」が育まれます。
人はひとりでは生きていけません。仲間を思いやり、お互いに助け合うという、今回日本人が改めて大切に思う「絆」を、側面から支えるのが我々の使命だと考えています。これからも夢を持つことの素晴らしさ、仲間の大切さを、学生服を通して伝えていきたいと思っております。