千葉県から、東京へ……東京タワーを
運営する日本電波塔株式会社社長になり、
まもなく三年がたとうとしている。
マザー牧場などを運営して、観光事業や
地域開発事業を手がける千葉県の会社か
ら「東京タワー」へ活動の舞台は広がった。
二人の社長の相次ぐ逝去により、突然の社
長就任。準備は何もできてはいなかった。
まず最初に励ましてくれたのは、千葉
県の友人たちである。社長就任の翌日に
開催された中山競馬場、千葉関連イベン
トの席上にてかねてより懇意の新聞記者
さんたちは、突然私の「東京タワー社長
就任」を知らされ、ペンを走らせた。そ
して、当日のGIレースより大きな記事
で取り上げた紙面さえも出た。千葉発の
「東京タワー社長就任」のニュースは、特
ダネ?かどうかは別にして、挨拶状の準
備も何もできてはいない私に、貴重な新
聞辞令をプレゼントしてくれたのだ。
そして、次に応援くださったのは全国
にあるタワーの仲間である。19タワー
で組織している全日本タワー協議会は、年
2回全国どこかのタワーに集合。私が参
加してから3年間、一タワーもかけるこ
とはない。妖怪ロード・水木しげるの街・
境港の夢みなとタワーや、荒波打ち寄せ
る犬吠埼・銚子タワーなどローカル色濃
いタワーも絶妙な個性を発揮する。また日
本構造設計の父、内藤多仲博士の設計か
ら生まれた名古屋・札幌・通天閣・東京
のタワー四兄弟。ここでは高さ333メー
トルで昭和33年生まれの東京タワーも
末弟である。しかし、その知名度とは裏
腹に全国のタワーの経営規模は小さく、
その年間収入は東京タワーですら50〜
60億円、2〜3億円の収入で懸命に運
営されているタワーもある。
映画「三丁目の夕日」や「東京タワー」
で取り上げられた東京タワーブーム、「ビ
リケン」人気の通天閣などが先導するか
たちで、いま全国のタワーに「展望施設」
としてだけではなく、街の「ランドマーク」
として頑張ろうとする気運が起きている。
長兄である名古屋テレビ塔の大澤社長の
発案で、一昨年より10月1日を「展望
の日」と定め、19タワー共同によるキャ
ンペーンを開始。本年の「展望の日」には、
19タワーのシールが付いたオリジナル
メモ帳を一斉配布するなど、共同イベン
トを企画する。
また、私どもの「ノッポン」をはじめ、
さっぽろテレビ塔「テレビ父さん」、五稜
郭タワー「GO太くん」、東山スカイタワー
「のっぴー」、京都タワー「たわわちゃん」、
空中庭園展望台「そららちゃん」、通天
閣「ビリケン」、福岡タワー「フータくん」
等、個性的なキャラクターが続々と誕生。
時代に押し流されることなく、人々の記
憶に刷り込まれていく「愛されるタワー」
を全国の仲間たちと共に目指したい。