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リレーエッセイご執筆者に次号のご執筆者をご紹介頂きます2007. 12.  RIETI  LETTER
リーダーを育てる顔画像と経歴




ボストン コンサルティング グループ
パートナー&マネージングディレクター
秋池  玲子

 経営者にふさわしい人材がなかなかい ない、という意見をあちらこちらで聞く。 例えば地方で。例えば再生されなくては ならない企業で。しかし、実は東京の優 良企業にだって、同じような悩みはある だろう。どういう企業でも成長を目指し ていくからには、前の世代よりも更に優 れた人材、より優れた経営手腕を経営者 に求めてしまうものだからだ。従ってこ の渇望感には永遠に終わりがないだろう。

 それでも、優れた経営者を育て、次の 世代に社長の椅子をみごとに引き継いで いる企業もある。何によってそれを実現 しているのだろうか。

 リーダーになった時の緊張感はどこか ら来ているのか。当然様々な要素がある が、最大のものは、自分が最終決定者と して決断をし、その責任を取らなくては ならない、ということではないか。

 経営者になるほどの方であれば、その 責任を取る心構えはきっと出来ているこ とだろう。しかし、不確実、不確定な状 況の中で、多くの人生を左右する決断を するのはたやすいことではない。この精 神的圧力に打ち勝ったり、そういう精神 状態の中でも正しい判断を下せる強さを 持つことが、最も難しいことではないだ ろうか。

RIETI LETTER 表紙画像  経営者を育てるために、早くから次世 代経営者研修で経営の知識を身につけさ せたり、リーダーシップ、すなわち、人を 動かすことの訓練をしたり、コミュニケー ションやIRの練習をしたり、というこ とをしている企業が多くなった。10年 前には考えられなかったことで、非常に 優れた取り組みである。

 しかし、これをやってもなお、意思決 定をする精神的圧力は消えない。結局は この圧力に打ち勝つには「慣れる」こと しかない。そのためのひとつの手段とし て、次世代経営者候補をグループ会社の 社長にし、経営者になると何をするのか、 どういう思いを味わうのかを、まだ時間 的余裕があるうちに考えさせたり、精神 的圧力に慣れさせたりすることが非常に 効果的だ。将来の経営者候補に傷をつけ ないよう、優良部門やスタッフ部門で大 切に育てている企業は今でもある。それ で堂々たる経営者になる方もおられるだ ろう。だが多くの人は、順行運転の時よ りも修羅場をくぐった時により多くを学 んでいる。また、腹心の部下や仲間に出 会ったりしている。

 もちろん、修羅場の経験がなくても優れ た経営者になった方もいらっしゃる。し かしそれは元々よほどの人材だった、と いう偶然の産物だろう。過去の多くの優 れた経営者は、グループ会社の社長をやっ ていなかったにしても、新事業を責任者 として立ち上げたとか、後には引けない 全社横断プロジェクトのリーダーをした など、育ってくる過程のどこかで修羅場 をかいくぐって来ているようだ。そして それは、経営者の方ご自身にとって、貴 重な経験と豊かな知恵を蓄える貴重なお 時間だったと、知る限りすべての方から 伺っている。



次号は、褐o営共創基盤代表取締役社、冨山和彦氏にお願いします。
リレーエッセイ 「リーダーを育てる」  (リーチレター 2007年12月号)  ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージングディレクター  秋池  玲子

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