石油は世界一次エネルギーの約四割、輸
送用エネルギーの約九割を供給、合成樹脂
は容量ベースで鉄鋼と並び、化学繊維と天
然繊維はほぼ同量、肥料・農薬、医薬・生
活品など石油依存で、現代は石油文明時代
と言える。
日本の使用総エネルギー量を成人労働力
に換算すると約六七億人で世界人口を超え
る。国際エネルギー機関によれば、G
DP
(千米ドル)単位当たりの一次エネルギー消費
量は、日本を一としてE
U一・八、米国
二・一、カナダ三・二、韓国三・三、中東
六・二、ASEAN六・三、中国八・七、
ロシア一九・七、我が国は世界最高のエネ
ルギー効率による経済成長をしている先進
国家である。
原油高価格定着で世界経済は動揺、国際
政治と通商秩序にまで影響を与えている。
それは中国など巨大人口途上国の資源浪費
型経済成長によるもので、その結果石油利
権の争奪、資源保有国の国営化・過大な利
益配分要求など石油戦争の様相が見られる。
石油は豊富で安価な大油田から開発利用
された。その可採埋蔵量は年率四.六パー
セント減少、現油田回収率約三○パーセン
トを五○パーセント以上とする開発投資が
行われているが、二○一五年需要の半分を
満たす程度、従って新しい油田・ガス田の
開発が必要となる。先端技術の進歩で、地
球上利用可能な資源の存在は、殆ど把握さ
れ残された開発対象は、海洋二○○○メー
トル以上の深海、大陸の未開発僻地で、高
度技術力発揮と災害・環境保全対策を政情
不安の中で行う事になる。その投資リスク
は巨大である。
一方、化石燃料使用で地球温暖化、異常気象
が発生、工業化・都市化の拡大と合わせて
農業適地が減少、食糧供給不安も始まった。
地球自然保護基金は、人類が必要とする
地球上の食糧、木材等の生産適地、漁場、
森林面積は、約一三五億ヘクタールと見積
もっている。現状は地表の約二五パーセン
ト、約一一三億ヘクタールで約二○パーセ
ント少なく、地球は人類扶養能力を既に失
っている。その中で飢餓人口約八億、一日
一ドル以下の生活人口約一二億、電気を持
たない人類約四分の一の存在がある。さら
に二○五○年世界人口は約九○億へ増加す
る。有限の地球と人類の現実を直視して、
資源浪費型経済依存からの脱却・転換をは
からなくてはならない。全世界石油消費量
八四○○万バーレル/日の五パーセントを
消エネ・再生可能エネルギーへ転換すると、それは世界最大の超巨大油田ガワールの発
見開発に相当する。一割でサウジアラビア
の供給量に迫る。その先端技術力の駆使活
用は成果の確実な投資であり、未来開拓型
経済刺激効果も大である。
石油に起因する地球規模の課題解決には、
世界各地域の自然風土と文化(生活様式)
に適合した小規模で複合的な技術の活用が
必要となる。それは国際的な目的共有によ
る分散型巨大プロジェクトの推進と言える。
技術が政治・経済と並立して国際外交の
表舞台に出る時代、先端技術強国日本のイ
ニシアティブ発揮を望むものである。